2021年01月19日

「アラベスク」 山岸涼子

拍手ありがとうございます。
今夜は少しだけ次の更新話を流し読みしようかなと思う。
以下は漫画の感想。簡単に。

自宅の漫画はだいぶ整理したので少数精鋭しか手元に残していないのだけれど、また手に取ってしまったのが「アラベスク」。子供寝かせて海外ドラマを一本視聴した後で、ついつい読みはじめて止まらなくなっちゃう、翌日昼間の眠気の原因。文庫版にして4冊だから、大した長さがないというのも繰り返し読んでしまう理由のひとつかも。
最初の方こそ超絶わかりやすいバレエを題材にしたシンデレラストーリー。でも、そういった王道ストーリーで一旦ゴールを迎えたはずの主人公ノンナと師匠ミロノフが、1年を積み重ねていくほどによりシビアで「人間」の真実に迫る経験を積んでいくのが底なし沼というのか、深い。
バレエ漫画ってけっこう多いと思うし、華やかで、可憐で優雅で、女の子が憧れるようなイメージがあるけど、山岸涼子のバレエ漫画は厳しくて残酷で、近くに『死』がつきまとっているところが、世間がバレエに対して抱くイメージとちょっと違うんだぞ、という気迫のようなものを感じる。
で、結局のところいちばん絶妙なのは、弟子のノンナと師匠のミロノフ、2人の関係だと思う。甘さ控えめにしているそのわずかな甘さがいいよね。ミロノフに憧れるノンナだけが片思いと思いきやそうでもないという。恋愛オンリーはどうにも手が出ないんだけど、あくまでバレエという主軸があるから2人の微妙な関係が際立つのだ。わたしの好みすぎる。

同じ山岸涼子のバレエを題材にした漫画「テレプシコーラ」もまた、何度も何度も読んでしまう。これもある意味シンデレラストーリーなんだけど、より現実的というか、むしろわたしは「アラベスク」よりも「テレプシコーラ」の方が好きかもしれない。「今」の「日本」のバレエの一端が垣間見えるところが興味深い。

そしてわたしはバレエ素人なのに、演目のポージングを覚えてしまうという……。たまにNHKでやってるローザンヌ見ると楽しいんだな。
posted by 杏後 at 21:55| 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月14日

笹野鳥生さんの「学校の怪談4『60年目のかくれんぼ』」手に入れました

「なかよし」に掲載されていた前後編読み切り漫画がずーっと気になっていて、いろいろ検索をかけていたら笹野鳥生さんという漫画家の「学校の怪談4『60年目のかくれんぼ』」だということが判明しました。

そう、「学校の怪談」といえばこども向けの実写映画が有名でしたが該当の漫画は映画のコミカライズにあたるようですね。
なにが印象に残っていたかというと、作画では「なかよし」らしくないスクリーントーン少なめの描き込みの線の多さ。それからストーリーは大津波に襲われる木造校舎という強烈な描写がとにかく忘れられなかった。東日本大震災の後だとなおさらあの漫画はなんだったのか、と思うわけなんです。東北では時代をまたいで大津波の言い伝えがあるようなのでなにか東北に関係があるのかな? と思って少し調べたものの、ストーリーの元ネタはよくわからなかった。
いずれにせよそういう重たい題材を少女漫画誌に載せられるテイストにアレンジしながら怪談らしい静けさも表現できるというところはこの笹野さんという方はただものではないなと思うわけです。しかし寡作な方なのか、単行本は少ないようで謎が多い。「コスモス」の池本幹雄さんもそうだけど、読み切り漫画で爪痕を残せる人は魅力的だなあ。

5年前に前編掲載の1999年7月号を、そしてつい先日後編が掲載されていた8月号をついに入手したので、少し心踊ってます。そして実写映画の方も題材が題材だけにTV放映は難しくなってしまったようですが、良いレビューが多いので機会があれば見てみたいなと思ってます。

今週は、在宅ワークでできそうな内容の仕事を、きちんと出勤して、ずーっとデスクについてやっています。わたしなにやっているんだろう、そう思って1ヶ月くらい経ってしまった。不本意な仕事だと気が滅入る。気分転換に今週末更新分をやろうと思います……。
posted by 杏後 at 21:51| 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年04月12日

1号限りで復刊した「Olive」を買った

anan特別編集 Olive(マガジンハウスムック)
anan特別編集 Olive(マガジンハウスムック)

実に熱い。「Olive」が休刊した時節って、紙媒体で「mc sister」「PS」「Cutie」「Zipper」「JILLE」などなど現在は休刊となってしまった女性ファッション誌が選びたい放題にあって、月に2〜3冊買っていた時もあった。ただ、紙媒体の雑誌はだんだん内容に差異がなくなってきて、最後に唯一毎月購入したのが「Olive」だった。他の雑誌とは明らかに違う安定したキッチュさが好きだった。だから復刊号も発売日に買いましたわ。あまり中身見れてないけど平手友梨奈さんのチョイスも媚びない雰囲気が「Olive」に合ってるな、という感じがしました。

あの頃、各誌で「差異がなくなってきた」理由というのがステマ臭というか、「ファッションブランドの宣伝」が優先されていたように思うんだよね。トレンドを発信する雑誌というよりはファッションブランドの広告でほとんどを占められている感じが、当時はしたような気がします。そういうこともあって自分もだんだんファッション誌を買わなくなってしまったような気がする。

Oliveの休刊あたりの雑誌は今でもとってあったりする。忘れた頃に開くとやっぱり心踊るんだよなあ。インスタントな流行じゃなくて、心からかわいいと思えるファッションばかり載っていたので。

「mc sister」とか「vikka」も復刊したら買いたいやつらです。
posted by 杏後 at 16:04| 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2020年03月23日

『ザ・スタンド』を想わずにいられない。

FFサーチさんでの更新告知で「第82話 吹きさらしん玉座」とタイプミスしてたみたいで一人でじわじわ笑ってました。アホだねえ。直した……。

スティーブン・キングの『ザ・スタンド』。インフルエンザウイルスの変異したやつが感染力をそのままに致死率99%の猛威をふるうっていう話。TVドラマを観たのが小学生の頃で、時間が有り余っていた大学生の頃にキング読み漁っていた一環で、確かに読んだ記憶がある。わたしが小学生の頃って、金曜日と土曜日の夜中のTV番組がサイコーに盛り上がってた。「ねるとん」「ハンマープライス」「料理の鉄人」「チューボーですよ」「夜もヒッパレ」「夢がモリモリ」などなどバラエティ番組に加えて映画や海外ドラマも充実していた。だから様々な思いでと共にうっすらと、昨今のコロナウイルスのニュースをTVで見るたびに、なんとなく頭をよぎるのが『ザ・スタンド』なんです。

致死率が「99%」というところがフィクションの香りなんだけど、有り得なくはないラインが妙技。(ビデオテープを介して伝染する『リング』はSFが高度すぎて「実現する恐怖」はあまり感じないんだけどね。)突然変異した感染力の高いインフルエンザウイルスが、天然痘の症状も併せ持ってしかも致死率99%で猛威をふるうというギリギリに実現しそうなラインが絶妙なんだと思う。映画『バイオハザード』もわたしは嫌いではないんだけど、さすがはゲームが元なので、「V.S.ゾンビ」という構図が強すぎて、そもそもの原因であった「ウイルス」についてはもはやどうでもよく感じてしまうものね。

ちなみに『ザ・スタンド』は、ウイルス自体の恐怖だけではなくて、たまたまウイルスの抗体を持っていた人々が集まってできる新たな社会の中で起こる人間関係の軋轢に拠る恐怖の方が見ものなんだなー。ウイルスについてだけ書いていたらあんな分厚い単行本にならない。
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2020年03月09日

「あそびあそばせ」9巻を読んだ

あそびあそばせ 9 (ヤングアニマルコミックス) - 涼川 りん

・続くあそ研V.S.新聞部or生徒会+やさいジュースの呪い
・ますます神々しい縦読みベイビー
・生徒会長けっこういいよなあ……。あの真面目ビジュアルでどんどんキレキレになっていく狂気。
・香純×青空さんの関係も今のところ順調だけどオチが凄まじそうで楽しみ。
・華子と香純のすれ違い電話がひどすぎていちばん笑ったけども。
・あとやっぱりオリヴィアがかわいい。

おやつのクッキー&夕食づくりの合間に読むもんじゃないな。にやにやが止まらないから小1の娘に「見せろ!」って言われてしまうスリルがたまらなかった。まだ早い気がする。お小水舐めるおっさんとかコナンのシルエットが出てくるあたりのやばさを理解できるようになってからね。軽そうで重い下ネタぶっこまれてるので。

あそびあそばせ 1 (ジェッツコミックス) - 涼川りん
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2009年05月10日

「テレプシコーラ」山岸涼子

ひとつの道を極めることの厳しさと、それをなし得た人間だけが味わえる達成感。そういうものを描き出そうとしているマンガだと思う。

マンガという空想の世界でありながら、頂点を目指すのは夢物語ではなく壮絶な現実なのだということを残酷にまで突きつけられる。のほほんとした絵柄なのに妙にリアルで、業界が違ったとしても、六花や千花と同じ様に夢を追いかける途中の人間なら感動せずにはいられないのではなかろうか……。
気付けばYouTubeで上野水香やシルヴィ・ギエムの動画を漁っている始末。とにかく夢中です。マンガとしてこれほどのめり込んだのは中学生以来だと思う。

それにしてもバレエというのは難しい舞台芸術ですね。ほとんどスポーツといっていいのか求められる身体能力の高さ、しかし同時にアートを求められるのがおもしろいところ。それに、作中で頻繁に出てくるモダンバレエの世界がおもしろい。私の中では、基本はクラシック、表現を広げたものがモダンバレエというイメージになってます。おカタいと思っていた舞台芸術も時代と共に進んでいるんだなあ、と。

先日ふと興味本位でバレエ雑誌の舞台写真なんかを見てみた。そのしなやかなポーズに思わず見とれてしまうよ。絵とか小説とか、動かないものばかり見ていた自分にとっては新鮮そのものだ。しかしその「動き」の世界に引き込んでくれたのは動くことのない「マンガ」なんだけどね。絵や文字は動かないけど、絵や文字から作られた物語の中では人が動き、気持ちが動き、時間も動いている。動かないもので動くものを表現するのってすごいことじゃないかな。

ああ、脱線した。「テレプシコーラ」は文芸系雑誌「ダ・ヴィンチ」にて連載中、毎回見逃せない。楽しませてもらっています。
posted by 杏後 at 20:57| 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2007年07月07日

「裏庭」/梨木香歩

裏庭
梨木香歩 著。児童文学ファンタジー。
この人が書く児童文学は、大人が読むと少しピリ辛く感じると思う。……それは児童文学全般で言えることかもしれないけれど。少年や少女の視線は、大人の視線よりも無防備です。思春期を乗り越える子供にとって、世界はつらく厳しいものに映るのだと思います。

わたしにとって10代前半の頃に起きたいろいろな出来事は、鮮烈な印象が薄れてしまいました。ただ懐かしくて親しみの持てるただの思い出に過ぎない。でも梨木さんの本を読むと、「そうじゃない」と思わされる。10代の体験が強烈だったこと、今のわたしはあの頃を無くしてあり得ないことを、思い出す。出来事自体は些細なことだけれど、当時はいろいろなことに敏感で、だからこそ深く悩んだり、思い切り笑ったりしたものです。

ストーリー自体はふつーです。一人の少女が誰かのために、勇気を出して冒険の旅に出る。それでも少女がなにげなく口にする言葉には刺激があります。
「裏庭」を読んで、自分の10代を再度体験してみてはいかがでしょうか。
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2006年06月09日

西の魔女が死んだ/梨木香歩

西の魔女が死んだ
読後さわやか、それでいて本気泣きの感動をいただいた。大満足です。ごちそうさま。
わたしも心の強さが欲しい。まいのおばあちゃんに鍛えてもらいたいな。併録の短編にも本編の主人公が登場します。少し成長した姿が頼もしい。前向きな物語って大好きです。

最初は海外文学の邦訳みたいなとっつきにくい文だな〜と思ったけど、読んでいくうちに慣れた。むしろ中盤以降は、女性らしい文章で読みやすいと感じました。
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2005年10月20日

回想のビュイック8

回想のビュイック8〈上〉
上巻に2週間近くかけたのに、下巻は2日間で読んでしまった。それだけ後半の物語は、坂道を転げ落ちるように、スピードアップした。
グリーンマイルのように伏線バリバリの驚愕のラストというわけには行かないけれど、真相が明かされていくにつれて読むスピードは確実に上がっていった。読み始めこそ、のんびりしているけど、しばらく我慢して読むのがいいかと思う。

あとがきによれば、「ビュイック」はほんのささいな一瞬の出来事から思いついた物語。そこから多彩な登場人物を生み出すことができるのは、想像力の賜物と感心してしまう。
posted by 杏後 at 23:40| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月07日

人質カノン 宮部みゆき

「人質カノン」、短編集です。ほどよくコミカルな話が6つと、重いのが1コかな。
私が好きなのは、重めの「八月の雪」。この世の理不尽さに打ちのめされた中学生の男の子が、祖父の死をきっかけにしてだんだんと生きる力を取り戻していくという内容です。やるせなさと未来への展望がいい具合に絡み合っているなあと。さすが宮部さん、ラストは無理なくさわやかに持っていきます。

久々に読んだ気がする宮部作品。やっぱり読みやすい。
posted by 杏後 at 00:41| Comment(0) | TrackBack(0) | 本読みました | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする